介護の準備

介護保険サービスの種類と使い方|申請から利用開始まで完全ガイド【2026年版】

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この記事でわかること
– 介護保険サービスの3つの分類と主なサービスの内容
– 申請から利用開始までの7ステップ(認定調査で失敗しないコツつき)
– 要介護度ごとに「実際に何を組み合わせるのか」がわかるシミュレーション
– 離れて暮らしながら手続きを進めるための実践アドバイス
– 親が「介護サービスは嫌だ」と言ったときの上手な伝え方

Roka所長
Roka所長

私の母はまだ簡単な介助だけで生活できていますが、ある日急に介護が必要になったとき、何から手をつけたら良いかわからないと気づいて改めて制度を調べ直しました。知っている人と知らない人では、使えるお金に大きな差がつく制度です。

Contents
  1. 介護保険サービスとは?2分でわかる基本の仕組み
  2. 介護保険サービスの種類一覧【3分類で整理】
  3. 要介護度別|実際にどんなサービスを組み合わせるのか
  4. 申請から利用開始まで7ステップ【初めての人向け】
  5. 離れて暮らす子どもが介護保険を使うときのリアルな注意点
  6. 親が「介護サービスなんて嫌だ」と言ったときの伝え方
  7. 介護保険で足りない部分は「保険外サービス」で補う
  8. よくある質問(Q&A)
  9. まとめ|介護保険は「知っている人が得をする制度」

介護保険サービスとは?2分でわかる基本の仕組み

介護保険は、2000年(平成12年)に施行された公的制度です。高齢者が介護を必要とする状態になったとき、費用の一部を国・自治体・保険料で支援する仕組みで、40歳以上の全員が加入します。

申請して認定を受けさえすれば、費用の7〜9割が介護保険から給付されます。自己負担は原則1割です。

誰が使えるの?対象者と年齢の条件

介護保険には2種類の被保険者があります。

区分対象者使える条件
第1号被保険者65歳以上の方要介護・要支援の認定を受ければ原因を問わず利用可
第2号被保険者40〜64歳の方がん・関節リウマチなど特定疾病(16種類)が原因の場合のみ

親が65歳以上であれば、転倒・骨折・認知症・脳卒中など、どんな原因でも介護保険を利用できます。

費用は原則1〜3割負担(収入によって違う)

所得に応じて自己負担割合が変わります。残りの7〜9割は介護保険(公費+保険料)から給付されます。

所得の目安(単身世帯)自己負担割合
年金収入+その他所得が280万円未満1割
年金収入+その他所得が280万円以上340万円未満2割
年金収入+その他所得が340万円以上3割

※上記は単身世帯の場合の目安です。実際の負担割合は市区町村から届く「介護保険負担割合証」で確認できます。

自分で申請しないと使えない「申請主義」に要注意

介護保険のサービスは、申請しない限り自動的に始まりません。どれだけ介護が必要な状態でも、本人または家族が手続きを行う必要があります。

⚠️ よくある落とし穴:「入院中だから病院が手続きしてくれているはず」と思い込み、申請が遅れるケースがあります。退院後すぐにサービスを使えるよう、入院中に申請を済ませておくのがおすすめです。

介護保険サービスの種類一覧【3分類で整理】

介護保険で使えるサービスは「居宅サービス」「施設サービス」「地域密着型サービス」の3つに分かれます。それぞれ特徴が異なります。

①居宅サービス(自宅で受けられる12種類)

自宅に住みながら受けられるサービス群です。「訪問系」「通所系」「短期入所系」に分かれます。

訪問系サービス(スタッフが自宅を訪問)

サービス名主な内容
訪問介護(ホームヘルプ)入浴・排泄・食事の介助、掃除・洗濯・買い物の生活支援
訪問入浴介護浴槽を持ち込んでの自宅での入浴介助
訪問看護医師の指示のもと看護師が健康管理・医療的ケアを実施
訪問リハビリテーション理学療法士・作業療法士が自宅でリハビリ指導
居宅療養管理指導医師・歯科医師・薬剤師などが自宅を訪問し療養指導

通所系サービス(施設に通う)

サービス名主な内容
通所介護(デイサービス)日帰りで食事・入浴・レクリエーションを提供
通所リハビリテーション(デイケア)病院・老健を拠点にリハビリ中心のデイサービス

短期入所系サービス(一時的に施設に泊まる)

サービス名主な内容
短期入所生活介護(ショートステイ)施設に数日〜数週間入所。家族の負担軽減にも有効
短期入所療養介護医療的ケアが必要な方向けのショートステイ

その他の居宅サービス

サービス名主な内容
福祉用具貸与歩行器・車いす・介護用ベッドなどのレンタル(費用の1〜3割)
特定福祉用具販売ポータブルトイレ・シャワーチェアなど購入に補助あり(年間10万円上限)
特定施設入居者生活介護有料老人ホーム等に入居しながら介護保険を利用

②施設サービス(施設に入居して受ける3種類)

施設に入居する場合のサービスです。要介護1以上が対象(要支援では利用不可)。

施設名通称特徴
介護老人福祉施設特養要介護3以上が原則。月額費用が比較的低く人気が高い。待機期間が数年になるケースも
介護老人保健施設老健リハビリを目的とした中間施設。在宅復帰を目指す方向け
介護医療院医療的ケアが必要な方向けの長期療養施設(2024年3月末に介護療養病床から完全移行)

③地域密着型サービス(市区町村限定の10種類)

「住み慣れた地域で暮らし続ける」ための小規模なサービスです。原則として、施設がある市区町村に住んでいる方のみ利用可能です。

サービス名特徴
認知症対応型通所介護認知症の方専用の少人数制デイサービス
小規模多機能型居宅介護「通い・訪問・泊まり」を一体的に提供。月額定額制
認知症対応型共同生活介護(グループホーム)認知症の方が少人数(5〜9人)で共同生活
定期巡回・随時対応型訪問介護看護24時間対応の巡回型訪問サービス。夜間も対応可
看護小規模多機能型居宅介護医療ニーズが高い方向けの複合型サービス

出典:厚生労働省「介護サービス情報公表システム」サービス編(https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/commentary/service.html)

要介護度別|実際にどんなサービスを組み合わせるのか

「どんなサービスがあるか」はわかっても、「親の状態に実際に何を使うのか」がイメージできない方が多いです。ここでは要介護度ごとの利用例と費用目安をシミュレーションします。

Roka所長
Roka所長

最初は制度の名前を覚えるのに必死で、正直どれが母に当てはまるのかよくわかりませんでした。こうして要介護度別に見ると、ぐっとイメージしやすくなると思います。

支給限度額と自己負担の上限(月額)

介護保険サービスには要介護度ごとに月の利用上限(区分支給限度基準額)があります。上限を超えた分は全額自己負担になります。

要介護度月の支給限度額(総額目安)1割負担の上限自己負担額
要支援1約50,320円約5,032円
要支援2約105,310円約10,531円
要介護1約167,650円約16,765円
要介護2約197,050円約19,705円
要介護3約270,480円約27,048円
要介護4約309,380円約30,938円
要介護5約362,170円約36,217円

※1単位=約10円(地域・サービスにより10〜11.4円)で算出。2024年度(令和6年度)時点の基準額。
出典:厚生労働省「介護保険の区分支給限度基準額について」

💡 ポイント:この自己負担額は「上限まで全部使った場合」の目安です。実際のケアプランでは上限の半分〜7割程度を使うことが多く、月の自己負担はさらに少なくなるケースがほとんどです。

要支援1〜2のケース:在宅を維持しながら少しサポートを受ける

状態の目安: 基本的な日常生活は自分でできるが、一部に困難な動作がある。転倒リスクがやや高い。

サービス利用頻度月額自己負担の目安(1割)
デイサービス(通所介護)週2回約3,000〜5,000円
訪問介護(掃除・買い物)週1回約1,000〜2,000円
月額合計目安約4,000〜7,000円

要介護1〜2のケース:複数サービスを組み合わせて在宅を支える

状態の目安: 食事・排泄・入浴などに部分的な介助が必要。軽度の認知症症状がある場合も。

サービス利用頻度月額自己負担の目安(1割)
デイサービス週3〜4回約6,000〜9,000円
訪問介護週2〜3回約2,000〜4,000円
福祉用具レンタル(手すり・歩行器等)月額約500〜2,000円
月額合計目安約8,500〜15,000円

要介護3〜5のケース:施設入居を検討するライン

状態の目安: 食事・排泄・入浴すべてに介助が必要。認知症の進行や夜間対応が難しくなる。

在宅を続ける場合はショートステイを組み合わせて家族の負担を分散させることが重要です。

サービス利用頻度月額自己負担の目安(1割)
デイサービス週5回約12,000〜15,000円
訪問介護週4〜5回約5,000〜8,000円
ショートステイ月3〜7日約6,000〜15,000円
訪問看護週1〜2回約3,000〜5,000円
月額合計目安約26,000〜43,000円

施設入居を選ぶ場合の費用については、別記事「在宅介護 vs 施設介護|費用・負担・後悔しない選び方を比較(記事05)」で詳しく解説しています。

申請から利用開始まで7ステップ【初めての人向け】

介護保険サービスは「申請→認定→ケアプラン作成→利用開始」の流れで進みます。申請から利用開始まで、おおよそ1〜2ヶ月かかることを念頭に置いておきましょう。

💡 覚えておきたいこと:ケアプランの作成費用は全額介護保険から給付され、利用者の自己負担はありません。ケアマネに遠慮なく相談しましょう。

認定調査で「軽く見られる」ミスを防ぐコツ

認定調査で最もよくある失敗が、「できます」と答えすぎてしまうことです。

❌ やりがちなパターン:
調査員「食事は自分でできますか?」→ 「なんとかできます」(本当は1時間以上かかり、こぼすことも多い)

介護認定は「最も状態が悪いとき」を基準に評価します。「普通の日」ではなく「調子の悪い日」を念頭に答えることが大切です。

✅ 家族ができる対策:
– 調査当日は家族も同席し、日常の困りごとを具体的に補足する
– 「困っていることメモ」を事前に作成しておく(「夜中に3回起きる」「歩くとふらつく」など具体的に)
– 調査の前後で状態が大きく変化した場合は、ケアマネや市区町村に相談する

ケアマネの選び方と「最初に相談すべきこと」

ケアマネジャーは介護保険利用の要です。市区町村の窓口や地域包括支援センターで紹介してもらえます。

初回面談で伝えておきたいこと:
– 親の一日の生活リズムと困っていること
– 家族側の介護力(週に何日対応できるか)
– 月の予算感(介護保険外の費用も含めて)
– 親本人の希望(自宅にいたい、外に出て人と関わりたい、など)

離れて暮らす子どもが介護保険を使うときのリアルな注意点

親が遠方に住んでいると、手続きのすべてに立ち会うことが難しいです。以下の方法を活用すれば、遠距離でも動くことができます。

帰省時にやっておくべき手続きチェックリスト

限られた帰省の機会を最大限に活かすために、事前に準備を整えておきましょう。

  • [ ] 帰省前に地域包括支援センターへ電話で事前相談(帰省前でも対応してくれる)
  • [ ] 認定申請の書類を事前に取り寄せる(郵送・ダウンロード可能な自治体が多い)
  • [ ] 帰省中に申請、または認定調査の日程を調整する
  • [ ] かかりつけ医の連絡先・診察券を確認しておく(意見書を書いてもらう医師)
  • [ ] 地域のケアマネ候補を事前にリストアップしておく(地域包括支援センターに相談すると紹介してもらえる)

電話・オンラインでできること・できないこと

手続き遠隔対応の可否ポイント
地域包括支援センターへの相談✅ 電話可最初の相談は電話で十分。遠方からでも親切に対応してくれる
要介護認定の申請⚠️ 代理申請可家族が代理申請できる。郵送対応の市区町村も増えている
認定調査への立会い❌ 遠隔不可調査員が自宅を訪問するため、立会いは帰省に合わせて調整を
ケアマネとの定期連絡✅ 電話・メール可遠方家族との連絡に慣れたケアマネも多い。最初に希望を伝えておく
サービスの変更・調整✅ 電話可ケアマネ経由で希望を伝えれば、遠方からでも対応可能

「遠くにいるから動けない」を解消するサポート窓口

地域包括支援センター(親が住む地域に設置。電話で相談可能)がすべての起点になります。「離れて暮らしているのですが、親の介護のことを相談したい」と伝えるだけでOKです。
電話番号は「○○市 地域包括支援センター」で検索するか、親の住む市区町村の公式サイトから確認できます。

親が「介護サービスなんて嫌だ」と言ったときの伝え方

親がサービス利用を拒否するケースは非常に多いです。これは「頑固」なのではなく、自尊心・プライドからくる当然の感情です。

抵抗感の本音は「弱い人間に見られたくない」

「まだそんな歳じゃない」「他人に家に入られるのは嫌だ」という言葉の奥には、こんな気持ちが隠れています。

  • 「介護を受ける=自分は弱くなった」という自覚が怖い
  • 「家族に迷惑をかけている」という罪悪感
  • 「知らない人が家に来ることへの不安と警戒心」

言い方を変えるだけで受け入れてもらいやすくなる

避けたいパターン受け入れられやすいパターン
「介護が必要だから行ってほしい」「体力をキープするために通ってみない?」
「一人だと心配だから」「行くと同じ世代の友達ができるみたいだよ」
「ヘルパーさんに手伝ってもらおう」「家のこと、少し楽にしてもらおう」
「施設に入ってもらおうかと思って」「まず体験だけしてみない?嫌なら断っていいから」

家族ではなく「専門家」から提案してもらうのが近道

いきなり家族が説得しようとすると感情的になりやすいです。まずケアマネや地域包括支援センターのスタッフに橋渡しをお願いするのが有効です。第三者から提案されると受け入れやすいケースが多く、経験豊富な専門家には「親の説得」のノウハウがあります。

介護保険で足りない部分は「保険外サービス」で補う

介護保険サービスは充実していますが、すべての生活ニーズをカバーできるわけではありません。以下のようなニーズには、保険外サービスを組み合わせて対応します。

ニーズ介護保険での対応保険外で補う例
買い物・掃除・洗濯一部対応(訪問介護)上限超え分 → 家事代行サービス
通院の付き添い・移送一部対応(介護タクシーなど)外出付き添いサービス
夜間の見守り定期巡回サービスで対応可見守りカメラ・緊急通報サービス
配食・食事の宅配対応外宅配弁当・配食サービス
遠方家族への状況報告対応外見守りサービス・介護日誌アプリ

保険外サービスを上手に組み合わせることで、在宅介護を長く続けられる可能性が大きく高まります


よくある質問(Q&A)

Q1. 申請してから認定結果が届くまでどのくらいかかる?

法律上は申請から30日以内が原則ですが、実際には1〜2ヶ月かかるケースも多いです(特に都市部)。急ぎの場合は「暫定ケアプラン」でサービスを先行利用できる場合があります。ケアマネに相談してみてください。

Q2. 認定結果に納得できない場合、不服申し立てはできる?

できます。認定結果の通知を受けた日の翌日から60日以内に、都道府県の「介護保険審査会」に審査請求(不服申し立て)が可能です。納得できない場合は遠慮なく活用しましょう。

Q3. 親が認定調査を「受けたくない」と言っている。どうすればいい?

本人の同意なしに調査を強行することは原則できません。まずは「なぜ嫌なのか」を丁寧に聞くことが大切です。かかりつけ医や地域包括支援センターのスタッフに間に入ってもらうと、話が進みやすくなります。

Q4. サービスの内容や回数は自分たちで変えられる?

ケアプランの変更はいつでも可能です。「デイサービスの日数を増やしたい」「訪問介護は不要になった」などの希望はケアマネに伝えてください。本人・家族の希望が最優先です。

Q5. 介護保険証(被保険者証)はどこで手に入る?

65歳の誕生月に市区町村から自動的に郵送されます。紛失した場合は市区町村の窓口で再発行可能です(本人確認書類が必要)。

まとめ|介護保険は「知っている人が得をする制度」

介護保険は申請しなければ1円も使えない「申請主義」の制度です。知っているかどうかで、使えるお金も受けられるサービスも大きく変わります。

チェック項目ポイント
✅ 申請は自分でしないと始まらない「誰かがやってくれる」は間違い
✅ 認定調査は「状態の悪い日」基準で答える取り繕うと認定に不利
✅ 限度額内なら1〜3割負担でOK全額自費にはならない
✅ ケアプランの作成費は無料ケアマネをフル活用する
✅ 保険外サービスとの組み合わせが在宅継続のカギ足りない部分は民間で補う
✅ 遠距離でも電話・オンラインから動ける帰省時に一気に手続きを進める

まずは親が住む地域の地域包括支援センターに電話1本入れることから始めてみてください。相談は無料で、どんな小さな疑問にも答えてもらえます。


ABOUT ME
Roka所長
Roka所長
親孝行のプロを目指すファイナンシャルプランナー
親孝行が趣味のファイナンシャルプランナー。10年近く離れて暮らしていた70代の母親と同居中。 シニア世代や家族が直面する、お金のこと、介護のことなど漠然とした不安を見える化して解決したい!との想いから親孝行ラボ(研究所)を立ち上げ。 シニア世代とその子どもであるミドル世代、どちらの不安も解消して幸せに暮らせる情報をお届けします!
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